【経済インサイド】“反増税”の急先鋒が官邸去る 「三度目の正直」確実か (1/3ページ)

藤井聡内閣官房参与(寺河内美奈撮影)
藤井聡内閣官房参与(寺河内美奈撮影)【拡大】

 年も押し詰まった昨年12月28日、政府が発表した人事が市場関係者に少なからぬ驚きを与えた。同日付で、藤井聡内閣官房参与が退職したのだ。藤井氏は京大大学院教授で、災害などに強い国づくりを進める「国土強靭(きょうじん)化」を担当すると同時に、今年10月に予定される消費税増税に強く反対してきたことで知られる。反増税の急先鋒(せんぽう)が首相周辺から離れたことで、「これまで2度に渡り増税を延期してきた安倍晋三政権も、次の増税は間違いなくやる」との見方が一気に広がった。

 対策の効果を否定

 藤井氏は、第2次安倍政権が発足した2012年12月から内閣官房参与を務め、安倍首相を支えてきた。突然の退職の背景には何があったのか。

 藤井氏自身に「消費税をめぐって、首相ともめたのですか?」とぶつけると、「全然そんなことないですよ。『今度、一緒にゆっくり食事でもしよう』と話をしているくらいですから。安倍首相に、増税は国益にとても大事な話なので、自由な立場で発言したい、言論活動に注力したい、と申し上げたのです」との答えが返ってきた。

 藤井氏は、消費税増税は日本経済に悪影響を及ぼすとして、反対の立場を貫いてきた。

 政府は今年10月の消費税増税に備え、予算や税制などの措置により、景気減速を回避する対策を打ち出している。昨年12月の経済財政諮問会議には、こうした対策が、増税による「負担増」を相殺するとの試算を示した。しかし藤井氏は、この試算に対して批判的な立場だ。

「学術的には正当化できない」